カポックスの誕生
液化炭酸株式会社(現:日本液炭株式会社)は、EOの殺菌、殺虫効力の顕著なことに着目し、昭和38年に我が国で初めてEOを用いた殺菌剤カポックス(Capox)を開発いたしました。
種類と性状
品 名 | カポックス-10 | カポックス-20 | カポックス-30 |
承認番号 | 14100AZZ06526000 (医薬品) | 14100AZZ06527000 (医薬品) | 14100AZZ06528000 (医薬品) |
成 分 | 酸化エチレン10% | 酸化エチレン20% | 酸化エチレン30% |
臭 気 | 無色・特徴のあるエーテル臭 | ||
比重(空気=1) | 1.52 | 1.52 | 1.52 |
燃焼範囲(Vol%) | 不燃性 | 20〜40 | 14〜40 |
容器表示 | - | 燃 | 燃 |
バルブ | W22.山14.左ネジ | W22.山14.左ネジ | W22.山14.左ネジ |
容器の形態と容量
ガスの種類 | カポックス |
容量(kg) | 30 |
外径(mm) | 216 |
高さ(mm) | 1,500 |
容器重量(kg) | 53~55 |
総重量(kg) | 83~85 |
用途
●衛生材料
注射筒、注射針、手術用器具、その他医療用具、および動物用医療用具、ガラス器具、
プラスチック製品、ガーゼ、寝具、衣料等の繊維製品その他非耐熱性製品の消毒および滅菌
●環境衛生
無菌室、病室、精密機器室内等の消毒または滅菌
列車、バス、船舶等の輸送機関の消毒および害虫駆除
旅館、食堂、公会堂、映画館、劇場等の消毒および害虫類の駆除
●その他
繊維、毛皮、皮革等の殺菌および殺虫。
図書類の殺菌および殺虫、蚕室、蚕具類の消毒。
空の貯穀倉庫、サイロのくん蒸。
用法と効能
EO滅菌は化学反応で菌を死滅させます。カポックスによる滅菌効力は主成分であるEOの濃度、温度、時間及び湿度などの要因で決まります。これらの要因の決定は被滅菌物の性質や汚染度によって適切な滅菌条件を選ぶ必要があります。
濃度
EOの濃度(mg/L)が高いほど滅菌効果が高まります。濃度は滅菌器に入れるガス圧や減圧度の大きいほど高くなります。
時間
滅菌時間が高いほど効果が高まります。しかし、無闇に長くすることは作業性や薬剤の残留ガスの面から好ましくありません。被滅菌物が確実に滅菌できる最適な時間で行うことが必要です。
温度
滅菌温度は高いほど効果が良く、40℃まではその作用は顕著に発揮されます。通常40~60℃の範囲で使用しますが、被滅菌物に許容される温度を考慮する必要があります。
湿度
滅菌効力が発揮するには滅菌中の相対湿度が30~50%が良いといわれています。しかし、過飽和の水分がある場合は滅菌効力は低下します。
(1)減圧滅菌法
密閉できる構造のチャンバーに被滅菌物を収納密閉し、加温してから真空ポンプによりチャンバー内を-96kPa位まで減圧にし、加湿後カポックスをチャンバー内のガス圧が98kPa(ゲージ)になるまで導入します。チャンバー内の温度は40℃位に保ち、滅菌時間は4時間を標準としますが、被滅菌物の性質、形状などにより、温度、時間を調節して下さい。
滅菌終了後真空ポンプを作動させチャンバー内を約-96kPaとし、炭酸ガスまたは無菌エアーを常圧まで導入する工程を数回繰り返したのち被滅菌物を取り出します。
(2)常圧くん蒸法
倉庫などの窓や扉を目張し、室温の場合ボンベからカポックス-10をEO1%(200g/㎥)の割合で投薬し、48時間放置します。くん蒸終了後は扉を開放し4〜5時間自然換気します。また無菌室の場合、EO約2%(カポックス-10で400g/㎥)の投薬量で殺菌所要時間は室温で24時間を標準とします。滅菌終了後ダクト(あるいはルーツブロアー)でガスの排出を行いながら清浄空気を室内に導入して置換します。
なお、倉庫、無菌室などの密閉が不完全な場合、適時追加投薬を行い室内のEOの有効濃度を保持することが必要です。
使用上の注意
●取扱上の注意
・カポックスを滅菌器へ接続する際は、必ず炭酸ガスタイプの滅菌器であることを確認して下さい。
・カポックスを置く場所は、直射日光や暖房器具、オートクレーブなどで容器の温度が上昇するような
場所を避け、常に40℃以下に保てる場所に設置して使用して下さい。
・カポックスを使用するときは、必ず容器を直立させて使用して下さい。容器を倒したまま使用すると
安定した組成のガスが得られず滅菌不良の原因となります。
・カポックスを使用する際、容器を転倒したり、衝撃を与えるとガス漏れの原因となりますので、容器
はしっかり固定してご使用ください。
・カポックスを使用しないときは容器弁を閉じて下さい。